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子宮卵管造影検査

1. 子宮卵管造影検査とは

子宮卵管造影検査(Hysterosalpingography:HSG)とは、子宮の出口からカテーテルを通し、造影剤という薬剤を注入して、X線(レントゲン)撮影を行う検査です。

不妊の原因の約30%は卵管に関係していると言われており、不妊治療のスクリーニング検査(初期検査)として非常に重要視されています。

卵管とは

卵管は、子宮の左右から伸びている約10〜12cmほどの細い管です。その役割は単なる「通り道」ではありません。

排卵された卵子を取り込む(卵管采)、精子と卵子が出会う「受精の場」となる、受精卵を子宮まで運ぶ役割があります。

そのため、卵管が詰まっていたり(卵管閉塞)、狭くなっていたり(卵管狭窄)すると、自然妊娠が困難になります。

子宮卵管造影検査でわかること

この検査では、主に以下の3点を確認します。

  1. 卵管の通過性(詰まっていないか)
    造影剤が卵管を通って腹腔内へ広がっていく様子を確認し、左右の卵管が通っているかを調べます。
  2. 子宮の形態異常
    子宮の形(双角子宮、単角子宮など)や、子宮粘膜下筋腫、ポリープ、子宮腔内の癒着の有無を確認します。
  3. 卵管周囲の癒着
    造影剤の広がり方を見ることで、卵管の出口付近で癒着が起きていないかを推測します。

検査を実施できない、または注意が必要な方

安全に検査を行うため、以下に該当する方は検査を受けられない、あるいは慎重に判断する必要があります。

ヨード造影剤アレルギーがある方(※代わりの検査として「卵管通水検査」や「卵管鏡」を検討します)

甲状腺疾患(特にバセドウ病など)がある方(※ヨードが疾患を悪化させる可能性があるため、主治医の許可が必要です)

現在、骨盤内感染症(クラミジアなど)がある方(※検査によって感染を広げる恐れがあるため、治療を優先します)

妊娠の可能性がある方(※X線を使用するため、排卵前に行うのが鉄則です)

2. 子宮卵管造影検査の流れについて

検査は通常、月経が終わってから排卵が起こる前までの期間(月経開始から7〜10日目頃)に行われます。

子宮卵管造影検査の流れ

一般的な検査の手順は以下の通りです。

準備・カテーテルの挿入
内診台にて、子宮の入り口から細い柔軟なカテーテルを挿入し、先端のバルーンを膨らませて固定します。

造影剤の注入と撮影(1回目)
レントゲン室へ移動(または内診台のまま)、ゆっくりと造影剤を注入しながら、リアルタイムでX線撮影を行います。この際、子宮の形や卵管の通り具合を確認します。

時間をおいての撮影(2回目)
検査から数十分後、あるいは翌日に再度撮影を行います。これは、卵管を通った造影剤が腹腔内にしっかり拡散しているかを確認し、卵管周囲の癒着を診断するためです。

子宮卵管造影検査後の注意点

検査当日は以下の点に注意してください。

当日の入浴: シャワーのみとし、浴槽に浸かるのは翌日からにしましょう。

出血: 検査直後は少量の出血が見られることがありますが、数日で治まるのが通常です。

性交渉: 感染予防のため、検査当日の性交渉は控えていただくことが一般的です(翌日以降は医師の指示に従ってください)。

副作用: 稀に吐き気、蕁麻疹、息苦しさ(アレルギー反応)が出ることがあります。異常を感じたらすぐにクリニックへ連絡してください。

子宮卵管造影検査の痛み

「卵管造影は痛い」というイメージをお持ちの方も多いですが、痛みには個人差があります。

痛みを感じやすいケース
卵管が詰まっている、または狭くなっている場合、造影剤の圧力で痛みを感じることがあります。

また、子宮を固定する際やバルーンを膨らませる際の下腹部の重い痛み(生理痛に近い痛み)を感じる方もいます。

痛みの緩和
当院では、できるだけ細いカテーテルを使用し、造影剤をゆっくり注入することで痛みの軽減に努めています。

不安が強い場合は、事前に鎮痛剤を使用することも可能です。また、使用する造影剤の種類によっても、検査の特徴や痛みの感じ方が異なる場合があります。

水溶性造影剤の特徴

水溶性造影剤は、さらさらとした性状で体内への吸収が早いことが特徴です。粘り気が少ないため、注入時の圧力が比較的低く、痛みは軽い傾向にあるとされています。吸収が早いことから、多くの場合、検査当日にすべての撮影が完了します。

主に診断目的で用いられ、子宮や卵管の形態を評価する能力が高いとされています。なお、造影剤に対するアレルギー反応が起こる場合があります。

油性造影剤の特徴

油性造影剤は粘り気があり、体内にゆっくりと吸収される点が特徴です。粘性が高いため、卵管の狭い部分を通過する際に痛みを感じやすいことがあります。吸収に時間がかかるため、検査当日だけでなく、翌日に再来院して撮影を行うことが一般的です。検査後に妊娠率が一時的に上昇する可能性があるとする研究報告があり、いわゆる「ゴールデン期間」が期待される場合があります。

一方で、まれではあるものの、血管内に流入した場合に油栓症(血管が詰まる状態)を起こすリスクが指摘されています。

卵管に問題があったら

もし検査で卵管の閉塞や狭窄が見つかった場合でも、妊娠を諦める必要はありません。状態に応じて以下のようなステップを検討します。

FT(卵管鏡下卵管形成術)

 細いカテーテルを直接卵管に差し込み、バルーンで詰まりを広げる手術です。保険適用で日帰りで行える施設もあり、術後の自然妊娠率向上が期待できます。

卵管留水腫への処置

卵管に水が溜まっている(水腫)場合、その液体が受精卵に悪影響を及ぼすため、体外受精の前に卵管を切り離す手術(卵管切除やクリッピング)が推奨されることがあります。

人工授精(AIH)へのステップアップ

片側の卵管が通っていれば人工授精も可能ですが、ピックアップ障害の可能性も考慮しながら進めます。

体外受精(IVF)

両側の卵管が完全に閉塞している、あるいは高齢で早期の妊娠を望む場合は、卵管を通らずに受精させる体外受精が最も有効な近道となります。

腹腔鏡手術(ラパロ)

卵管周囲に高度な癒着がある場合、カメラでお腹の中を確認しながら癒着を剥がす手術を行うことがあります。

3. 検査後の「ゴールデン期間」について

子宮卵管造影検査には、診断だけでなく治療的効果があることも大きな特徴です。

検査で造影剤を流すことによって、卵管内の軽微な詰まりや粘液が掃除され、通りがスムーズになります。

その結果、検査後3〜6ヶ月間は「ゴールデン期間」と呼ばれ、自然妊娠率が飛躍的に高まることが知られています。

「検査を受けるのは怖い」という気持ちもあるかと思いますが、このチャンスを活かすために前向きに検討される方も多くいらっしゃいます。

子宮卵管造影検査は、不妊の原因を特定するだけでなく、妊娠しやすい状態を作るという大きなメリットがある検査です。

当院では、患者様の痛みを最小限に抑え、リラックスして検査を受けられる体制を整えています。

不妊治療の第一歩として、また「なかなか授からない」というお悩みの解決の糸口として、まずは一度ご相談ください。

 

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