男性プレコンセプションチェック
1.プレコンセプションチェックとは
将来子どもがほしいと考えているカップルにおすすめなのが、プレコンセプションチェックです。
近年では、女性だけでなく男性に対しても「プレコンセプションチェック」の重要性が注目されています。
プレコンセプション(preconception)とは「妊娠前」を意味する言葉で、妊娠前の自身の状態を確認して、妊娠を阻害する要因や習慣を見直し、改善するための検査のことです。
女性だけでなく、男性にとっても妊娠前の健康管理は非常に重要です。
精子の質や数、性感染症の有無、生活習慣などが妊娠に影響を与える可能性があるため、パートナーと一緒に検査を受けることで、より安心して妊活に臨むことができます。
ブライダルチェックとプレコンセプションチェックとの違い
ブライダルチェックとプレコンセプションチェックは混同されがちですが、目的や検査内容に違いがあります。
ブライダルチェックは、結婚前に妊娠するために問題がないかを確認するための検査です。
主に、感染症や生殖機能に関する疾患の有無を確認し、将来の妊娠・出産に備えるための基本的な検査といえます。
プレコンセプションチェックは妊娠の可否を判断するための検査ではなく、将来の妊娠に向けて現在の健康状態を把握し、必要に応じて生活習慣の見直しや医療的介入につなげることを目的としています。
そのため、感染症の有無だけでなく、精子の状態やホルモンバランス、既往歴、服用中の薬、生活習慣なども含めて総合的に評価します。
また、プレコンセプションケアは検査そのものを指す言葉ではなく、妊娠前からの継続的な健康管理全体を意味します。
具体的には、適正体重の維持、禁煙や節度ある飲酒、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、感染症予防など、日常生活の見直しを含み、必要に応じて医療機関での検査や治療を受けながら、妊娠に向けた体づくりを行うことを目指します。
男性プレコンセプションチェックが推奨される理由
不妊の理由の半分は男性にあることをご存知ですか?
世界保健機関(WHO)の報告によれば、不妊症のカップルのうち、男性のみに原因がある場合が約24%、男女両方に原因がある場合が約24%で、合わせると約48%が男性側の要因が関与しています。
しかし、不妊治療というと女性が受診するイメージが強く、男性が検査を受けるケースはまだ少ないのが現状です。
実際には、精子の数が少ない(乏精子症)、精子の運動率が低い(精子無力症)、精子の形態に異常がある(奇形精子症)といった問題が不妊の原因になることがあります。
また、精索静脈瘤や性感染症、ホルモン異常なども男性不妊の原因となります。
これらの多くは早期に発見して適切に対応することで、改善が期待できる場合があります。
2.受診を検討するタイミング
プレコンセプションチェックは、以下のような方に特におすすめです。
妊娠を考え始めたカップル
結婚を控えている方
パートナーが妊活を始めたいと考えている方
不妊治療を検討している方
過去に妊娠に至らなかった経験がある方
性感染症の心配がある方
生活習慣(喫煙、飲酒、肥満など)が気になる方
受診のタイミングに決まりはありませんが、妊娠を考え始めたらなるべく早い段階で受けることをお勧めします。
検査結果によっては治療が必要な場合もあり、妊娠までに時間がかかることもあるためです。
受診前のセルフチェック
受診する前に、ご自身で確認できることもあります。以下の項目に当てはまるものがあれば、早めの受診をお勧めします。
- 勃起や射精に問題がある
- 精巣や陰嚢に痛みや腫れがある
- 精液の量が少ない、または色や状態が気になる
- 性感染症にかかったことがある、または心配がある
- おたふく風邪による精巣炎にかかったことがある
- 長期間の高熱や放射線治療を受けたことがある
- 喫煙や過度の飲酒習慣がある
- 肥満やメタボリックシンドロームを指摘されている
- 長時間のサウナや熱い風呂に入る習慣がある
- パートナーと1年以上避妊せずに性交渉をしているが妊娠しない
これらはあくまで目安ですので、気になることがあれば医師に相談してみましょう。
2.男性プレコンセプションチェックの検査について
主な検査内容
男性プレコンセプションチェックでは、主に以下のような検査を行います。
問診
性機能、既往歴、家族歴、生活習慣(喫煙、飲酒、運動、食事など)、現在服用している薬、職業(高温環境や化学物質への曝露など)について詳しくお伺いします。
身体測定
精液検査
男性プレコンセプションチェックの中心となる検査です。精液量、精子濃度、精子運動率、精子正常形態率などを調べ、WHOが定めた基準値(国際的に用いられている精液検査の基準)と比較して評価します。
※検査前は2〜7日間の禁欲期間が必要です。
血液検査
性感染症検査(梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎など)
ホルモン検査(テストステロン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンなど)
血糖値、肝機能、腎機能など
尿検査
クラミジアや淋菌などの性感染症の有無を調べます。
視診・触診
精巣の大きさや硬さ、精索静脈瘤の有無などを確認します。
超音波検査
必要に応じて、精巣や前立腺の状態を超音波で観察します。
検査の流れ
初診時に問診と診察を行い、精液検査の予約を取ります。
精液検査は、2〜7日間の禁欲期間を設けた後、自宅またはクリニックで採取します。
採取後は1時間以内にクリニックに提出する必要があります(自宅採取の場合)。
血液検査や尿検査は、初診時または別の日に行います。
すべての検査結果が揃うまでに、1〜2週間程度かかります。
検査結果が出たら
検査結果は、医師から詳しく説明があります。
精液検査の結果、精子の数や運動率が基準値を下回っている場合は、医師と相談しながら、生活習慣の改善や必要に応じた対応を検討していきます。
検査結果に問題がなかった場合でも、より健康な体づくりのために生活習慣のアドバイスを受けることができます。
3.検査費用と助成金
検査費用の目安
男性プレコンセプションチェックは、基本的に自費診療となることが多いです。
費用は医療機関によって異なりますが、以下が一般的な目安です。
精液検査:5,000円〜15,000円程度
血液検査(性感染症、ホルモン検査など):10,000円〜30,000円程度
超音波検査:5,000円〜10,000円程度
基本的な検査セットで20,000円〜50,000円程度が相場です。
助成金について
一部の自治体では、不妊検査や不育症検査の一環として、男性の検査費用に対する助成制度を設けているところがあります。
東京都内でも、区市町村によっては助成を受けられる場合があります。
例えば、港区、中央区、江東区、品川区などで独自の助成制度があります。
助成の対象となる検査項目、助成金額、申請方法などは自治体によって異なります。
お住まいの区市町村の公式ウェブサイトや保健所で最新の情報を確認することをお勧めします。
また、不妊治療を受ける場合は、国の不妊治療助成制度(現在は保険適用)の対象となることもあります。
4.大手町ARTクリニックについて
男性不妊の原因は様々で、精液検査だけでなく総合的な評価が必要です。
当院では、男性プレコンセプションチェックを通じて、妊娠に向けた体の状態を丁寧に確認し、必要に応じて適切な治療やアドバイスを提供しています。
パートナーと一緒に妊活に取り組むことで、より安心して妊娠を目指すことができます。まずはお気軽にご相談ください。
参考文献
日本泌尿器科学会「男性不妊症診療ガイドライン」
世界保健機関(WHO)「Infertility prevalence estimates」
厚生労働省「不妊に悩む夫婦への支援について」
日本生殖医学会「生殖医療の必修知識」
